鉄コン筋クリート [極私的映画感想]
2006年 日本
監督 : マイケル・アリアス
評価 : ★★★★
鬼才・松本大洋の出世作をアニメ化。監督のマイケル・アリアスはこれが初監督作品。アニメ制作は、ケン・イシイの『EXTRA』などで知られるSTUDIO 4℃が担当。
松本大洋といえばその独特の作風で大変にファンの多い漫画家だと思う。だが自分の場合は、その“不思議くん”や“不思議ちゃん”や、時には“不思議おっさん”が跋扈する世界観が微妙に鼻についたりもしてきた。
さらに言うと、世間に「とりあえず松本大洋好きってことにしとけばその人の感性は確か」みたいな風潮があるような気がして、軽くキモイなぁとか、かねがね思ってきたり思ってこなかったり。
いや、思ってきたんだけど。
で、例によってこの原作も未読。有名な作品ということは十分認識してはいたけど、特に読む機会もなかったので。
『ピンポン』はけっこう好きだったんだけどね(こっちは映画観てない)。スコンク。
『花男』はあんまり。っていうかちょっと嫌いかも。
で、この映画。凄い。すごい!!
(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」すげぇぇぇぇええぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇえぇ あぅあぅあぅあぅぅぅぅx
これは…ファンタジック・スーパー・リアリズム? とか勝手に名付けたが、そんな感じではないか!?
物語の舞台は架空の世界だし本来リアルであるはずもないのだが、しかし徹底的に細部まで描きこまれたその世界観は、とにかく「リアル」としか言いようの無い質感を保持している。そしてそれは同時にどこか懐かしさも感じさせるリアルさだったりするのだ。
おそらく現在30代半ば以上の元少年少女たちにとっては、「あったあった! こういう感じ!」と手を打って喜びたくなるような、あの古臭くも生温かい昭和の質感。この映画の物語世界では全編にわたってアレが再現されている。
まさに日本のアニメ(監督はアメリカ人だが)のそこぢからを見た思い。ジブリだけじゃないんですねぇ。
個人的にはこの描きこみだけでこの映画の価値は相当なものだと思うのだが、その描きこまれた不思議リアルな空間を、主人公たちは一種トランシーな浮遊感、疾走感でもって駆けずりまわってくれるわけだ。うほ。
さらに、音楽担当がPalid。うほうほ。
物語の主題など誰かに語らせておけばいい。自分はこの世界に浸るためだけにDVD買うね! 金ができたらなっ!
★について
そもそも極私的な感想であって、決して客観的な評価を狙ったものではありません。
ゆえに★の数は、単にfouがその作品を気に入ったかどうか、その一点に集約されます。
星は最大5つ。
☆は0.5を表す。
★★★★★ もう最高。この後すぐにDVD買いに行きます!
★★★★ けっこうすばらしい作品。金が出来たらDVD買うかも。
★★★ 良作。心のノートに「なかなかナイス」と書いておく。
★★ 凡庸。特に評価しません。
★ 時間のムダだった。オレの貴重な時間を返せ!
尻毛 論外。これは断じて映画ではない。