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エル・スール [極私的映画感想]



1983年 スペイン / フランス
監督 : ビクトル・エリセ
評価 : ★★★


一昨年の11月に『BSシネマ』で放送されたものを録画。ずーっと観ていなかったのだが、正月で比較的時間があった折にようやく鑑賞することができた。
で、これ観たことあったわ。ビクトル・エリセ作品は、これと『ミツバチのささやき』とどちらかを観ていないという記憶があったのだが、こちらがすでに観た方だった。

まぁいい。二度目の鑑賞を終えて簡単に。


手法は非常に通俗的。そもそも映像上の主体が簡単に切り変わってしまうのはどうなのか。
難解さは微塵もない。ご丁寧に登場人物のモノローグでいろいろ教えてくれます。
映像は美しい。絵画的というほどカッチリ決まって見せるという感じでもないが、美しい。

el-sur.jpg

全体に、可愛らしい小品という感じか。
ビクトル・エリセ=素晴らしくアーティスティックな映像作家、という印象だけを持って観ると裏切られる。
でも悪くはない。軽く微笑ましい。そういう感じ。
物語上、ラストはアレだが、じゅうぶん想定内ではある。


★について
そもそも極私的な感想であって、決して客観的な評価を狙ったものではありません。
ゆえに★の数は、単にfouがその作品を気に入ったかどうか、その一点に集約されます。

星は最大5つ。
☆は0.5を表す。

★★★★★ もう最高。この後すぐにDVD買いに行きます!
★★★★   けっこうすばらしい作品。金が出来たらDVD買うかも。
★★★    良作。心のノートに「なかなかナイス」と書いておく。
★★      凡庸。特に評価しません。
★       時間のムダだった。オレの貴重な時間を返せ!
尻毛      論外。これは断じて映画ではない。
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昼下りの決斗 [極私的映画感想]


昼下りの決斗 特別版 [DVD]

昼下りの決斗 特別版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD


1962年 アメリカ
監督 : サム・ペキンパー
評価 : ★★★☆

巨匠・サム・ペキンパーによる西部劇。
テーマ的には、いわゆる西部劇の世界観の終焉、つまりは、ならず者たちが跋扈する、暴力とダンディズムに支配された時代の終わりを描いた作品と言ってもいいかと。
このテーマの作品ってけっこうあるみたいで、自分もそんなにたくさんの西部劇を観ているわけじゃないけど(西部劇好きを名乗っておきながら)、それでも何本かがこのテーマに該当していた。たとえばセルジオ・レオーネの大名作『ウエスタン』もそうだし、ペキンパーによる『ビリー・ザ・キッド21歳の生涯』もそうだろう。

で、この作品。冒頭からそれを象徴するシーンがある。初老の元保安官(ジョン・マックリー)が町に入ってくると、後方からなんと自動車がやってきて慌てて避ける…。
このシーンを見た時点で、「あ、なるほど。そういうテーマか」と合点した次第。

gunintheafternoon.jpg
ストーリー的には、衰えたとはいえ依然として自らの正義感、ダンディズムを貫こうとする元保安官と、その旧友で落ちぶれ気味の男(ランドルフ・スコット)の、「金の前では名誉もクソも無い!」という現実的な主張とがぶつかって…という流れ。

で、これ、面白い。かなり。
途中で登場する世間知らずの生娘が、いい感じにストーリーを破綻させていく…というか、「おいおいそりゃ無茶だろう」的な話にしていくわけだけど、終いにはその無茶苦茶加減がどうでもいいと思えるほど、心地よい作品。

なんつーか、枯れたダンディズム。さほど雄々しくないわけ。ほどほどに弱々しく、それでいて決めるところは決める、そういう感じ。

ハイライトとなるラストの銃撃戦。これも良い。実に良い。「昔からの流儀」を通して、そしてその流儀に殉ずる男たち。それがまた、あまり雄々しくないわけだ(笑)。
いやいや、だからこそのダンディズムだっちゅーねん! そういう感じ。

おそらく、西部劇にあまり通じてない人が観てもさほど感じるところはないだろう。でも、何本かの西部劇を意識して観てきた人なら、この枯れたダンディズムが理解できるんでないかな。そういう感じ。そういう人にはおススメできる作品です。


つーか自分、とっても不勉強なのでペキンパー作品にもまだまだ観てないのがたくさんあって。
あの『ワイルドバンチ』にしても、チラッと少しだけ観たことはあるけど、実は全編通して観てはいない。
いまはそれが逆に幸せ。これから追々ペキンパーの作品たちを体験できるかと思うと心が弾んで仕方ない自分が居る。
いやー、映画ってホントにいいもんですね。



★について
そもそも極私的な感想であって、決して客観的な評価を狙ったものではありません。
ゆえに★の数は、単にfouがその作品を気に入ったかどうか、その一点に集約されます。

星は最大5つ。
☆は0.5を表す。

★★★★★ もう最高。この後すぐにDVD買いに行きます!
★★★★   けっこうすばらしい作品。金が出来たらDVD買うかも。
★★★    良作。心のノートに「なかなかナイス」と書いておく。
★★      凡庸。特に評価しません。
★       時間のムダだった。オレの貴重な時間を返せ!
尻毛      論外。これは断じて映画ではない。



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百万弗を叩き出せ [極私的映画感想]

1961年 日本
監督 : 鈴木清順
評価 : ★☆

奇才・鈴木清順初期の青春・スポ根物。DVDもVHSも無いらしい。

清順作品はこれまで数本観ているが、その特徴をひとことで言えば、「ワ・ケ・ワ・カ・ラ・ン(笑)」。
この作品でも当然そういう展開を期待したのだが…。

う〜ん。いかにも昔のスポ根物という感じで、「あぁ、このわけわからない感じこそが清順だよなぁ」ってところがまったく無い。もちろん古さ故の時代的ギャップだと分かってはいるのだが、今の感覚で観るとどうにもお寒い演出ばかり。
う〜ん。なんか良いところあったかなぁ…。
んー。たぶん、無い。


★について
そもそも極私的な感想であって、決して客観的な評価を狙ったものではありません。
ゆえに★の数は、単にfouがその作品を気に入ったかどうか、その一点に集約されます。

星は最大5つ。
☆は0.5を表す。

★★★★★ もう最高。この後すぐにDVD買いに行きます!
★★★★   けっこうすばらしい作品。金が出来たらDVD買うかも。
★★★    良作。心のノートに「なかなかナイス」と書いておく。
★★      凡庸。特に評価しません。
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尻毛      論外。これは断じて映画ではない。

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西鶴一代女 [極私的映画感想]


西鶴一代女 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: Cosmo Contents
  • メディア: DVD


1952年 日本
監督 : 溝口健二
評価 : ★★★

言わずもがなの、「日本映画史上に残る大名作」と評される作品。
ヴェネチア映画祭国際賞受賞。

なんとなんと、溝口健二作品は初鑑賞。(´▽`*)アハハ  恥ずぃ。

実は大学生の頃、一度鑑賞の機会があったのだが。
新宿での飲み会の後、鷺宮と阿佐ヶ谷の中間地点ぐらいにあった映画好き友人Kのおんぼろアパートに泊まったあの晩。たぶんNHKあたりで放送したものをKがビデオに録画していたんだと思う。深夜、この溝口の代表作を観始めた…ところで止めた。
いくらなんでも野郎ふたりが深夜に、風呂なしトイレ共同のおんぼろアパートで『西鶴一代女』もないだろう、キモイから止めようや、ということで自重した。
代わりにくだらない人生論を朝まで延々闘わせた…んだったかどうかは忘れてしまったが。

今回の鑑賞で、出だしの数分間だけ既視感があったのは以上のような理由による。


原作はもちろん井原西鶴の『好色一代女』

saikaku.gif
えーと。田中絹代という大女優についても、ほとんど知識無し。もしかしたらしっかりと田中絹代を観るのは今回が初めてだったのかも。
最初に“うら若い美少女”として登場する主人公を演じるのは当時42歳の大女優。いろんな意味で凄いです。

なにしろ溝口作品は初めてだし、彼の作品の特徴などについて物の本などで知識を仕入れたこともない。いったいそれが特徴なのかどうかも分からんが、とにかくやたらと気になったのは、構図の妙。
奥行きだったり、左右の広がりだったり、建物や広場や庭などの持っている構造的な広がりをゆ〜っくりとパンするキャメラが執拗に見せてくる。それがなんと言うか、観ている側にも心理的余裕を生むのかなんなのか知らんが妙に心地良かったりする。

で、それ以外の印象があるかと言えば…実はあんまり覚えてない(笑)
もちろん波瀾万丈のストーリー自体は覚えているのだが、そんなの西鶴の原作を知っていればとやかく言うまでもないことだし。
ただ、なんだか畳み掛けるようにストーリーに引っ張られ続けるのは、それは溝口の力量なのか違うのか。
すみません不勉強で。これから勉強します。


ただ思うのは、あの晩これ観ておいても良かったなってこと。この作品なら十分に間は持っただろうし、あーだこーだ言い合いながら観たらきっと面白かっただろうなと。



★について
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裸のランチ [極私的映画感想]


裸のランチ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: アスミック
  • メディア: DVD


1991年 イギリス=カナダ
監督 : デイヴィッド・クローネンバーグ
評価 : ★★

そもそも、バロウズ原作のこの作品を映画化するこっとって可能なのか。というか、映画化なんてしちゃっていいものかどうか。そこに疑問を感じるというか、終始モヤモヤしたものがつきまとう。

ウィリアム・バロウズ本人とその作品について細かい説明はしない。ひとまず著名な方が書いてるサイトをリンクしておく。このリンク先にある説明を読んでいただければ、「そもそも映画化は可能なのか」という疑問の意味することも分かっていただけるかと。

まぁとにかく、この映画。
「原作がある作品はすべてその原作に忠実でなければならない」という不文律が映画界に存在しているわけでもないし、どう映画化しようが監督の勝手と言えば勝手なんだろう。
ただ、もし自分ならこういう作品にはしないだろうな、とは思う。自分ならたぶん筋の無い物を撮ると思う。


ま、とにかく、この映画。
いや、別に批判したいわけでもないし、この映画を観て「これ嫌い」とか感じているわけでもない。
なんなんだろ。

クローネンバーグって監督は、クリーチャーが好きだとか虫が好きだとか、なんかいろいろあるみたいだけど、この映画もまぁカフカっぽいと言えばカフカっぽいね。つーか、この映画、原作カフカじゃないの!?

えーと。
タイプライターが虫…。


もしこの映画が『裸のランチ』というタイトルじゃなかったとしたら…
…ま、やっぱり★2つかな。
ふつうです。特に何も無し。

あ、いや、とにかく、タイプライターが虫。


★について
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白い肌の異常な夜 [極私的映画感想]


白い肌の異常な夜 [VHS]

白い肌の異常な夜 [VHS]

  • 出版社/メーカー: CICビクター・ビデオ
  • メディア: VHS


1971年 アメリカ
監督 : ドン・シーゲル
評価 : ★★☆

どうやらDVD化されてないらしい。

ドン・シーゲル&イーストウッド。お馴染みダーティハリーのコンビによる異色サスペンス。
舞台は南北戦争末期、とある南部の森の中。負傷した北軍兵のマクバーニーさんが女学院(?)で傷の手当てを受けーの、回復しーの、ロリから年増まで何でもありの女性陣とイチャイチャしーの、上手くやるのかと思いきや、嫉妬と欲望に狂う女性陣の制御をミスった結果、最後はミザリー。
みたいな感じですか。

イーストウッドの出演作としては異色の部類ということで、知られざる秀作みたいな捉えられ方をされてたりもするのかな。どういうわけだかタイトルだけは昔から一応知ってたな。
鑑賞はCATVのミステリーchとかってマイナーっぽい局だったと思う。ちなみに吹き替え版でした。ということで、イーストウッドの吹き替えはもちろん山田康雄。

この作品、全編どことなくB級っぽい雰囲気が漂ってるんだけど、冒頭部分でいきなり女学院校長の心の声が聞こえてきたときは、「安っぽいテレビドラマか?」と心配になってしまった。ちと安易過ぎる演出じゃないかと。
でもその後は、スリルを高めるべく計算されたキャメラワークが随所に見られて悪くなかった。
でもどこかB級っぽいんだよな。なんで?

beguiled.JPG
ストーリー上で気になったのは、写真のジョー・アン・ハリス扮するキャロルの「とっても早熟なの」なところとか(早熟ぶりを見せなさい)、登場人物がみな状況によって豹変するところとか(落差が笑える)、あとはオチの部分。『大草原の小さな家』の主人公ローラみたいな可愛らしい女の子なんだけどね…。亀の恨みは恐ろしいってか。
はっΣ(゚Д゚,,) そ、そうか。亀はメタファーだったのか…。今気づいた(;´Д`)


★について
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★★★    良作。心のノートに「なかなかナイス」と書いておく。
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鉄コン筋クリート [極私的映画感想]


鉄コン筋クリート (通常版) [DVD]

鉄コン筋クリート (通常版) [DVD]

  • 出版社/メーカー: アニプレックス
  • メディア: DVD


2006年 日本
監督 : マイケル・アリアス
評価 : ★★★★

鬼才・松本大洋の出世作をアニメ化。監督のマイケル・アリアスはこれが初監督作品。アニメ制作は、ケン・イシイの『EXTRA』などで知られるSTUDIO 4℃が担当。

松本大洋といえばその独特の作風で大変にファンの多い漫画家だと思う。だが自分の場合は、その“不思議くん”や“不思議ちゃん”や、時には“不思議おっさん”が跋扈する世界観が微妙に鼻についたりもしてきた。
さらに言うと、世間に「とりあえず松本大洋好きってことにしとけばその人の感性は確か」みたいな風潮があるような気がして、軽くキモイなぁとか、かねがね思ってきたり思ってこなかったり。
いや、思ってきたんだけど。

で、例によってこの原作も未読。有名な作品ということは十分認識してはいたけど、特に読む機会もなかったので。
『ピンポン』はけっこう好きだったんだけどね(こっちは映画観てない)。スコンク。
『花男』はあんまり。っていうかちょっと嫌いかも。


で、この映画。凄い。すごい!!
(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」すげぇぇぇぇええぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇえぇ あぅあぅあぅあぅぅぅぅx


これは…ファンタジック・スーパー・リアリズム? とか勝手に名付けたが、そんな感じではないか!?
物語の舞台は架空の世界だし本来リアルであるはずもないのだが、しかし徹底的に細部まで描きこまれたその世界観は、とにかく「リアル」としか言いようの無い質感を保持している。そしてそれは同時にどこか懐かしさも感じさせるリアルさだったりするのだ。
tekkon3.jpg
おそらく現在30代半ば以上の元少年少女たちにとっては、「あったあった! こういう感じ!」と手を打って喜びたくなるような、あの古臭くも生温かい昭和の質感。この映画の物語世界では全編にわたってアレが再現されている。
まさに日本のアニメ(監督はアメリカ人だが)のそこぢからを見た思い。ジブリだけじゃないんですねぇ。

個人的にはこの描きこみだけでこの映画の価値は相当なものだと思うのだが、その描きこまれた不思議リアルな空間を、主人公たちは一種トランシーな浮遊感、疾走感でもって駆けずりまわってくれるわけだ。うほ。
さらに、音楽担当がPalid。うほうほ。


物語の主題など誰かに語らせておけばいい。自分はこの世界に浸るためだけにDVD買うね! 金ができたらなっ!



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天井桟敷の人々 [極私的映画感想]


天井桟敷の人々 [DVD]

天井桟敷の人々 [DVD]

  • 出版社/メーカー: パイオニアLDC
  • メディア: DVD


1944年 フランス
監督 : マルセル・カルネ
評価 : ★★★☆

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言わずと知れた、映画史上に残る大名作とされる作品。この映画をオールタイムベストに選ぶ企画や評論家も多い。
トータル3時間を超える大作。2部構成になっていて、前編は『犯罪大通り』、後編は『白い男』とタイトルがついている。

といった感じで、いわゆる名画としての地位が確立している作品なわけだけど、本当のところあまり期待して観たわけじゃなかった。後世のさまざまな作品に影響を与え、それらの下敷きになってきたであろう作品だけに余計、今観ると古臭くさい感が拭えないんじゃないだろうか? と想像したのがその理由。
だけどそうでもなかった。今観ても十分に面白い。

観ている最中からひとつ、ずーっと引っかかっていたことがあった。今それを調べてみたわけだけど。驚いた。あのシークエンスってセットだったんだ…。
というのは、冒頭から人々が行きかう賑やかなパリの大通りが出てくるわけだけど、それがロケによる撮影なのかあるいはセットなのか気になっていたのだ。
だけどセットにしてはあまりにも規模がデカ過ぎるし…。と思っていたら、全長400mにおよぶセットを建設し2000名以上のエキストラを配し撮影に臨んだらしい。すげー!! そりゃロケと勘違いしても不思議ないよ。

そういった、パリに暮らす人々のエネルギーを伝えるショットもこの映画の魅力だし、よく言われることだが登場人物たちの気の利いたセリフもまたすばらしい。その辺は脚本家で詩人でもあるというジャック・プレヴェールの力量なのだろう。

物語上、主要な登場人物たちが舞台俳優であるという設定とも無縁ではないのだろうが、キャラがみな分かりやすく“立って”いて、かつ魅力的。自分は特にフレデリック・ルメートルが気に入った。

ひとつだけ難を言えば、劇中かなりの美女として扱われるヒロインのギャランスがどう見てもおばさんだということ。映画においてはよくあることとは言え、少々残念。

でもでも、ラストのカーニバルの場面は圧巻だし、バチストが人波にさらわれてもがく様は美しい。
見ごたえ十分の名作。



★について
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黄色いリボン [極私的映画感想]


黄色いリボン [DVD]

黄色いリボン [DVD]

  • 出版社/メーカー: ファーストトレーディング
  • メディア: DVD


1949年 アメリカ
監督 : ジョン・フォード
評価 : ★☆

巨匠ジョン・フォードの作品中、『アパッチ砦』、『リオ・グランデの砦』と並んで騎兵隊三部作と呼ばれている作品らしい。
でもオモロない。申し訳ないけど。
なんだろ…。自分、西部劇大好きなんですけどね…。
ま、どのみち大した知識も持ってないし、正統派の西部劇ファンじゃないことは認めてますが。
…にしても。

ストーリー的には、騎兵隊を退役となる大尉の最後の任務を巡るあれこれ、という感じのもの。それだけ聞けばなんとなく流れが想像できてしまうというか、脚本的にもあまりエキサイティングじゃないんだよね。
あとは、なんつーかなぁ、劇中の掛け合いというか、登場人物同士のちょっとコミカルっぽっい絡みがあったりするんだけど、その辺もね、古いから当然なのかも知れないけど、自分的には薄ら寒いつまらなさを感じる。
大尉の最後の活躍も、ご都合主義的なものを感じざるを得ないほどあっけないし、全体にちょっと“薄い”。


DVDは廉価版があって500円で売ってるみたいだけど、自分ならそれでも買わないな。



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とべない沈黙 [極私的映画感想]


とべない沈黙 [DVD]

とべない沈黙 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ビデオメーカー
  • メディア: DVD


1966年 日本
監督 : 黒木和雄
評価 : ★★★

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さて。ようやくの黒木和雄作品(デビュー作)。自分的にも同監督の作品を鑑賞するのはこれが初めて。


えーとね。凄いですよ。この作品は。でもなんと表現すればいいのかな…。
例えばこんな感じでしょうか。これから書くすべてのコメントの直後に、(笑)とかwとかを付けたいような。
そんな映画です。どんな映画だ!


出だしから幻想的です。なんだか昔のゴジラとかを想起させる感じ。不思議な美女(加賀まり子)が登場して、「おっ! 小美人?」とか思ってしまった。
当初北海道のお話かと思いきや、どんどん舞台が飛びます。で、ナガサキアゲハの幼虫がそれぞれの土地に登場し、作品の意図を示しているということだけは分かる。
分かるのだが…(笑)
的な。

で、なんとなくメロドラマっぽい男女の絡みなどがあり、ここからそんな感じで流れていくのかなぁなんて思っていると、思いっきり裏切られます。でもそこら辺りから、そんなストーリーはどうでも良くなってきます。
何故って、とにかくキャメラが凄い!凄すぎる!!

撮影:鈴木達夫
ってことなんだが、この名前は絶対に覚えておいた方がいいだろう。強くそう思わせる、あり得ないショットの連続。あひー
で、とにかくもう最後までキャメラの凄さを追いかけて観よう…と思ってたら、終盤でとんでもない展開w いきなり「おいおい、急にドキュメンタリーかよ!」と突っ込みたくなるシークエンス。あひー(笑)
わたくしそこら辺りで思わず、「日本のゴダール」ということばでググったぐらいです。もしかしたらそう呼ばれてる作家なのかなと思って。

さらにオモロ素晴らしいのが、黒木和雄自身の著作『映画作家黒木和雄の全貌』という本のなかに記された、この映画の上映を巡るあれこれに関する一節。ちょっと引用すると、
ところがまたもトラブルが惹き起こされた。封切りがきまり、全国にポスターと予告篇がかけられていた段階で、東宝の首脳陣の試写があった。内容は詳らかにしないが、即日オクラ入りが決定した。仄門するところでは「気狂い映画」「とても東宝が劇場にかけるしろものではない」ということであったらしい。

アッヒャッヒャ!ヽ(゚∀゚)ノアッヒャッヒャ! 即日オクラ入り! き、気狂い映画!うぷぷぷぷ!! 

まぁ、そういう感じの映画です。
さらに引用。
一方この珍作が「新鮮」と評されたのには、鈴木達夫の貢献が大きい。(~途中省略~)この『とべない沈黙』をみた日本の若手映画作家たちがこぞって鈴木達夫と組みたいと切望した。吉田喜重、松本俊夫、篠田正浩、寺山修司、藤田敏八たちである。

ということらしい。実際凄いぞこのキャメラは!


つーことでですね、映画を観るってことは物語を追うことだと思っているような手合いには決しておすすめできないけど、「斬新なショットがあればご飯三杯はいけるよ!」ってな人にはメチャクチャおすすめします。はい。凄い映画です。

なにげに、前述の加賀まり子をはじめ、小沢昭一、小松方正、長門裕之、渡辺文雄、田中邦衛等々キャストも凄い。


それにしても…
き、気狂い(正しい読みだと変換できない!!)映画
(* ̄m ̄)ぷぷぷ



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