昼下りの決斗 [極私的映画感想]
1962年 アメリカ
監督 : サム・ペキンパー
評価 : ★★★☆
巨匠・サム・ペキンパーによる西部劇。
テーマ的には、いわゆる西部劇の世界観の終焉、つまりは、ならず者たちが跋扈する、暴力とダンディズムに支配された時代の終わりを描いた作品と言ってもいいかと。
このテーマの作品ってけっこうあるみたいで、自分もそんなにたくさんの西部劇を観ているわけじゃないけど(西部劇好きを名乗っておきながら)、それでも何本かがこのテーマに該当していた。たとえばセルジオ・レオーネの大名作『ウエスタン』もそうだし、ペキンパーによる『ビリー・ザ・キッド21歳の生涯』もそうだろう。
で、この作品。冒頭からそれを象徴するシーンがある。初老の元保安官(ジョン・マックリー)が町に入ってくると、後方からなんと自動車がやってきて慌てて避ける…。
このシーンを見た時点で、「あ、なるほど。そういうテーマか」と合点した次第。
ストーリー的には、衰えたとはいえ依然として自らの正義感、ダンディズムを貫こうとする元保安官と、その旧友で落ちぶれ気味の男(ランドルフ・スコット)の、「金の前では名誉もクソも無い!」という現実的な主張とがぶつかって…という流れ。
で、これ、面白い。かなり。
途中で登場する世間知らずの生娘が、いい感じにストーリーを破綻させていく…というか、「おいおいそりゃ無茶だろう」的な話にしていくわけだけど、終いにはその無茶苦茶加減がどうでもいいと思えるほど、心地よい作品。
なんつーか、枯れたダンディズム。さほど雄々しくないわけ。ほどほどに弱々しく、それでいて決めるところは決める、そういう感じ。
ハイライトとなるラストの銃撃戦。これも良い。実に良い。「昔からの流儀」を通して、そしてその流儀に殉ずる男たち。それがまた、あまり雄々しくないわけだ(笑)。
いやいや、だからこそのダンディズムだっちゅーねん! そういう感じ。
おそらく、西部劇にあまり通じてない人が観てもさほど感じるところはないだろう。でも、何本かの西部劇を意識して観てきた人なら、この枯れたダンディズムが理解できるんでないかな。そういう感じ。そういう人にはおススメできる作品です。
つーか自分、とっても不勉強なのでペキンパー作品にもまだまだ観てないのがたくさんあって。
あの『ワイルドバンチ』にしても、チラッと少しだけ観たことはあるけど、実は全編通して観てはいない。
いまはそれが逆に幸せ。これから追々ペキンパーの作品たちを体験できるかと思うと心が弾んで仕方ない自分が居る。
いやー、映画ってホントにいいもんですね。
★について
そもそも極私的な感想であって、決して客観的な評価を狙ったものではありません。
ゆえに★の数は、単にfouがその作品を気に入ったかどうか、その一点に集約されます。
星は最大5つ。
☆は0.5を表す。
★★★★★ もう最高。この後すぐにDVD買いに行きます!
★★★★ けっこうすばらしい作品。金が出来たらDVD買うかも。
★★★ 良作。心のノートに「なかなかナイス」と書いておく。
★★ 凡庸。特に評価しません。
★ 時間のムダだった。オレの貴重な時間を返せ!
尻毛 論外。これは断じて映画ではない。